■詩・歌・換・言。<微行相思>×<水蜜桃> その弐

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川上澄生 「退屈詩篇」より抜粋


きくひともなしと思へば

芦の葉の茂みにかくれ

ひそやかに 呼びてもみたる

あゝ 君が 御名

おのが聲に 面赤らみ

胸ふるふ

あゝ 君が 御名






かくれおに 〜童心戀心〜(わらべごころこいごころ) TEXT by 瀞ひそか様<微行相思> 







さわ さわ さわ

野辺のほとりにさざめき拡がる、青い葉ずれの波の音。
童のころ、よく一散に駆けてきては、ここを隠れ家にしたものだったが――
そのかみは分け入るだけで、充分におのが身を匿ってくれた緑の砦は、今ではせいぜい腰の辺りまでを覆うのみ。
湯に躯を沈めるように、ひと叢のなかへそっと身を屈めて座れば、ようやく視界はなつかしいものとなった。

「……」

こうして何刻を過ごそうとも、もはやあの頃のように誰かが追ってくることも捜しに来てくれることもない。
なのに己は息をひそめ身を縮こまらせて――一体何から逃れようとしているのだろう。

答えの代わりに口をついたのは

「だて、どの」

胸一杯に満ち満ちて、苦しいばかりのかのひとの名。

その眼前でしなやかに、あたかも誘いかけるように揺れそよいでいた葉末をたどったゆきさきに、かすかな痛み。

引き戻した手――そこには、独りでいながら余りにも遠慮がちにかのひとを呼んだ意気地のなさを咎めるように、朱のひとすじが引かれていた。

ややあって、どうにか逡巡を振り払うと、意を決して再び――呼んだ。

「――まさむねどの…っ」

おのが声を知覚した途端、ひといきに頸へ頬へと躍り上がってくる血脈の騒々しい音の他は、もはや聴こえなくなってしまった耳を、裏も表もなく赤備えよりもあかくして――
甲斐の若虎はそれこそいとけない童のように、抱えこんだ両膝の上に燃える面を伏せた。

さわ さわ さわ と 芦が鳴る。

どこか遠くでひとつ、口笛の音がした。

【了】

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派生してあらぬほうへ飛んでった(笑)妄想漫画です。あくまでも解釈のひとつとして、ぬるぅくお読み流しください…。







ひとさじ真伊第二回は、川上澄生「退屈詩篇」より、モラトリアム真っ只中の真田源次郎幸村17歳の恋心です!(真顔)
風に遊び優美な仕草で誘っているような芦の葉はまるで筆頭のよう。触れんと手を伸ばせば鋭利な刃で斬りつけるつれなさもまたしかり(笑)
ひそか様は、芦が原の野辺にて物思いに耽る真田の心情を、巧みに情景に織り込み切なくも風雅に綴られておりますが、ミジンコ脳のマリカ。は
どうしても政宗様をでしゃばらせたかったので、こじつけに真田の血と思いに染んだ(なんかやだな/汗)芦の赤い葉が奥州まで
届いちゃったんだぜ的なファンタジーになってしまいました…!(さいてい)原詩の川上澄生先生、原作のひそか様に大土下座orz
それにしても、名を口にするだけで赤面しちゃうピュアっこ幸村にはもうわっこわこにされまくりでした。
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モドル。